四国八十八カ所霊場 納経料30年ぶり値上げ 参拝者減、物価高など影響 4月から
四国八十八カ所霊場の札所で4月1日から、御朱印をもらう際に支払う「納経料」が30年ぶりに値上がりする。参拝者数の減少傾向や物価高騰に対応した措置。値上げ幅は100~200円で、納経帳に御朱印を受ける場合は200円増の500円となる。
納経料は寺院を参拝して経を納めた証しとして、境内の納経所で御朱印を受ける際に支払う。料金は受ける物によって異なり、今回の値上げで、掛け軸は500円から700円に、白衣は200円から300円にそれぞれ引き上げる。人件費削減のため、納経の受付開始時間も午前7時から同8時に1時間遅らせる。終了時間は午後5時のままで変更しない。
札所でつくる「四国八十八カ所霊場会」(事務所・善通寺市)によると、納経料の引き上げは1994年以来。参拝者数の減少で寺院運営にとって大きい納経料収入が減っている上、物価高騰に伴う光熱費や境内施設の修繕費などの負担が大きくなっていることから昨年の総会で決定した。
21番札所・太龍寺(徳島県阿南市)に向かうロープウエーを運営する四国ケーブル(高松市)によると、四国遍路参拝数の目安となるロープウエー利用者は1992年の約15万9千人をピークに減少傾向にあり、新型コロナウイルス前の2019年には約5万5千人に減少。コロナ下では一層落ち込んだ。
同会讃岐部会長を務める72番札所・曼荼羅寺(善通寺市吉原町)の高吉清文住職は「檀家(だんか)が少なく、納経料が支えになっている札所も少なくない。やむを得ない決断。値上げの分、参拝者へのサービスを充実させたい」としている。
(四国新聞・2024/01/17掲載)