香川県高松市出身の能楽師・伶以野(レイヤー)陽子さんが出演する能楽「葵上(あおいのうえ)」が3月20日、同市玉藻町のレクザムホール小ホールで開かれる。公演を前に主役を演じる伶以野さんが同市番町の四国新聞社番町本社を訪れ「人間の内面を描いた奥深い作品。初めての人もぜひ見に来て」と呼びかけた。


「初めての人もぜひ見に来て」と話す伶以野陽子さん=香川県高松市番町、四国新聞社番町本社

「初めての人もぜひ見に来て」と話す伶以野陽子さん=香川県高松市番町、四国新聞社番町本社


 伶以野さんは能楽師・56世梅若六郎(現・人間国宝梅若桜雪)さんに師事。シテ方観世流師範免許を取得し、全国で公演やワークショップを開いて能楽の魅力を伝えている。
 葵上は、源氏物語の「葵の巻」を題材とした人気曲。光源氏の正妻となった葵上と、光源氏の愛を失った六条御息所の確執をテーマにした作品で、嫉妬に狂った御息所が生き霊となって葵上を苦しめる―という物語。今回、伶以野さんは六条御息所を演じる。
 作品の魅力について伶以野さんは「御息所は身分が高く教養のある女性で、本当は嫉妬や憎しみにとらわれたくないが、自身の感情から逃れられない姿が描かれる。不気味な中にも垣間見える高貴な女性の美しい所作に注目してほしい」とアドバイス。
 見どころは修験者が御息所を成仏させようと対決するシーンといい、囃子(はやし)が盛り上がる中で激しい舞が繰り広げられる。「能楽は囃子も含め一人一人が主役。生の舞台の迫力を楽しんで」と力を込めた。
 能楽の魅力は、伝統的な美しい装束や人間の内面描写など、幅広い角度から楽しめることと解説。「今や世界から認められる舞台芸能。自分だけの楽しみ方を見つけて、人生の潤いにしてほしい」と話した。

 玉藻能2024「葵上」は高松市玉藻町のレクザムホール小ホールで3月20日午後2時開演。前半は能楽師安田登さんによる解説「源氏物語の世界」や、狂言「清水」の上演などがある。入場料は一般5500円ほか。問い合わせはレクザムホール、電話087-823-5023。

(四国新聞・2024/02/29掲載)


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