瀬戸内海と栗林公園を主なテーマとして撮影する香川県高松市の写真家二ノ宮博之さん(83)の個展が、香川県高松市庵治町の歯ART美術館で開かれている。讃岐平野の眺望や朝日輝く瀬戸内海の風景を阿波和紙にプリントして絵画のように表現。柔らかな風合いの作品が並び、心温まる古里の自然美を伝えている。3月20日まで。



 二宮さんは明治大在学中にカメラクラブに所属。以降、ライフワークとして香川に根付く祭りや四国霊場などの風景を撮影してきた。2008年には国の伝統的工芸品である阿波和紙に作品をプリントする独自の手法「写画流」を編みだし、19年にスロベニア、昨年末にはパリで写真展を開くなど香川の文化や自然を世界にも伝えている。
 今展はパリで紹介した瀬戸内海を中心とする約50点を「大地」「楽園」「七宝」「祈り」の4テーマに分けて展示。このうち「楽園」では、同市庵治町の岬から望む「だるま朝日」を取り上げ、幻想的な一瞬が和紙によってより神々しい雰囲気を醸し出している。
 また、飯野山(讃岐富士)の上で輝く満月や、城山(坂出市)からとった讃岐平野、太鼓台を和船で運んで宮入りする小豆島町池田の秋祭りなどを捉えた作品が並んでおり、二ノ宮さんは「世界に誇る瀬戸内の風土を写真を通して堪能してほしい」と話している。
 入場料は一般600円ほか。毎週土曜は作家が在廊する予定。問い合わせは同館、電話087-871-0666。

(四国新聞・2024/02/29掲載)



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