室町、戦国時代の讃岐の武者に焦点を当てたテーマ展が香川県高松市玉藻町の香川県立ミュージアムで開かれている。当時繰り広げられた戦いや暮らしに関する古文書など23点を展示。戦乱の時代の中で揺れ動く武士の行動や思考をひもといている。4月7日まで。


中世の武士の肖像画に見入る来場者=香川県高松市玉藻町、香川県立ミュージアム

中世の武士の肖像画に見入る来場者=香川県高松市玉藻町、香川県立ミュージアム


 中世の讃岐の社会情勢について知ってもらうのが狙い。同ミュージアムによると、室町時代は讃岐守護を細川氏が務め、現地支配に当たった守護代やその家臣の武士たちが勢力を振るっていた。戦国時代に入ると守護の権威が衰え、讃岐の地は阿波の三好氏や土佐の長宗我部氏らの相次ぐ侵攻を受けたという。
 テーマ展は室町と戦国の2章で構成。このうち、西讃地域で勢力を誇っていた香川之景が近くに住む武士・秋山氏に宛てた文書(レプリカ)には、三好氏との戦いで戦功を上げた秋山氏をたたえ、恩賞を与える内容が記されている。書状からは、外敵に対抗するため少しでも味方を陣営につなぎ留めようとした香川氏の思惑が読み取れる。
 豊臣秀吉による朱印状も紹介。京の寺を造営するため、四国で木材を切り出すよう命じる内容で、讃岐の武士たちが秀吉政権下に組み込まれ、物資供給に協力したことを物語っている。
 また、岡本城(三豊市豊中町)を守ったとされる西谷藤兵衛の肖像画は、室町後期から戦国時代にかけて広まった袖のない「肩衣(かたぎぬ)」を着用し、烏帽子(えぼし)をかぶらない姿で描かれている。年代が明らかな肩衣袴(はかま)姿としては最初期の肖像画とされ、当時の武家の服装が見て取れる。
 同展担当の藤井俊輔学芸員は「動乱の時代に自身の権威を守ろうと試行錯誤していた武士の思いを想像してほしい」と話している。
 入場料は一般410円ほか。16日午後1時半から展示解説がある。問い合わせは同ミュージアム、電話087-822-0247。

(四国新聞・2024/03/07掲載)


香川県立ミュージアム



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