西洋の風景がテーマ 東山魁夷せとうち美術館 来月7日まで
香川県坂出市沙弥島の東山魁夷せとうち美術館で、日本画家・魁夷による西洋の風景画を紹介する第4期テーマ作品展が開かれている。魁夷が留学や旅行で目にした情緒ある街並みや清澄な自然美が堪能できる。4月7日まで。
魁夷は東京美術学校(現東京芸大)卒業後、ドイツへ渡り、ベルリン大で西洋美術の歴史を学んだ。1960年代には夫妻でノルウェーやオーストリアなどを写生旅行で訪れており、その時のことを「私の胸は若々しく高鳴った」と画集で振り返っている。今展では、60~90年代に制作した26点を紹介している。
このうち、「エルシノアの街」はデンマークの港を描写した作品。「古風な家々や由緒ある僧院が、昔の物語を秘めるかのように、ひっそりと立ち並ぶ」という魁夷の文章と共に鑑賞できる。
2階ではドイツの森や湖をテーマにした作品を展示している。「山湖澄む」は深みのある緑や青で豊かな森林と湖を表現。水面には上下が反転した森林がくっきりと描かれ、静けさを感じさせる。風景の中に神々しい白馬を描き入れた作品などもあり、来場者の関心を集めている。
担当学芸員は「魁夷が心引かれた景色を捉えた作品の数々を、一緒に旅をしているような感覚で楽しんでほしい」と話している。
入館料は一般310円ほか。問い合わせは東山魁夷せとうち美術館、電話0877-44-1333。
(四国新聞・2024/03/28掲載)