香川県小豆島町中山地区の春日神社境内にある「中山の舞台」(国指定重要有形民俗文化財)で2022年11月から進められてきた大規模改修工事が完了し、14日、落成式が行われた。地元保存会による寿式三番叟(さんばそう)の舞やもち投げが行われ、集まった住民ら約150人が、輝きを取り戻した地域のシンボルの門出を祝った。


大規模改修の完了を祝って披露された三番叟=香川県小豆島町中山、春日神社「中山の舞台」

大規模改修の完了を祝って披露された三番叟=香川県小豆島町中山、春日神社「中山の舞台」


 同舞台は江戸時代の天保年間(1830~44年)に建造されたとみられ、経年劣化によって建物にねじれが生じ、倒壊の恐れが出ていた。
 町教委の測量や県教委、文化庁の専門家も入った調査で、柱の腐食や石壁の一部の崩れが確認されたほか、柱や梁の構造体の強度不足も判明。地元自治会が中心となり、国や県、町の補助のほか、全国からクラウドファンディングで支援を受け、工事に着手した。排水工事などで費用が膨らみ、総事業費は当初予定を400万円程度上回る約9千万円になる見通し。
 この日、新しくなった舞台の幕が開くと桟敷(さじき)からは「待ってました」などと次々に歓声。三味線の音色に合わせた華やかで荘厳な三番叟の舞に大きな拍手が送られた。


大規模改修された舞台の様子を見学する地域住民ら

大規模改修された舞台の様子を見学する地域住民ら


 同地区の井口平治自治会長(74)は「地元の皆さんだけでなく全国各地から支援やメッセージをいただいた。その思いに応えるために一生懸命、舞台を守っていく」とあいさつ。3月下旬に土庄、小豆島両町に伝わる「小豆島農村歌舞伎」が国の重要無形民俗文化財に指定され、全国で初めて歌舞伎と舞台の両方が国の重文となったことについて、中山農村歌舞伎保存会の久保政会長(65)は「先人たちが積み重ねてきた歴史の重みを感じる。後世に伝えていくことが私たちの使命」と誓った。
 舞台からは紅白に彩られたもち3千個が威勢良く投げられたほか、普段は入ることのできない舞台裏や地下部分などの見学会もあった。

(四国新聞・2024/04/16掲載)



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