国内外の観光客に人気の香川県小豆郡土庄町豊島に、築90年余の古民家を改装した中長期滞在型の宿泊施設が26日にオープンする。海や山に囲まれた豊かな自然、近隣住民との交流など、穏やかな瀬戸内の「島暮らし」を体験してもらうことで交流人口の増大を図り、地域活性化につなげるのが狙い。関係者は「旅行者にも地元住民にも、地域の魅力を再発見するきっかけになるはず」と力が入っている。


古民家を改装し26日にオープンする中長期滞在型宿泊施設「MUJI BASE TESHIMA」=土庄町豊島家浦


 運営は無印良品を展開する良品計画(東京)。同社が古民家などを活用した宿泊施設を手がけるのは、昨年8月の千葉県鴨川市に次いで2例目。施設名は「MUJI BASE TESHIMA」で、豊島の家浦港から西方に徒歩5分の住宅地に立地する。2010年の瀬戸内国際芸術祭の際は作品兼レストランとして使用され、11年から同芸術祭のスタッフの寮に。13年からは簡易宿泊施設として使われていたが、昨年1月に廃業となっていた。
 都会から離れた生活体験ができる場所を探していた同社が、今年に入って同施設を購入。木造平屋約85平方メートルのうち、梁(はり)などの部材は可能な限り再利用し、傷んでいた床をオーク材に張り替えた。部屋間の移動で邪魔になる壁の一部を取り除き、採光窓を多めに取り入れるなどして開放感のある空間に仕上げている。


古民家の内壁の一部を開けて開放的な空間に仕上げた室内


 外装は、正面玄関周辺を白を基調にまとめた以外は、杉板などの壁材、屋根瓦はそのまま使用。内装も白を基調とし、同社が展開するインテリアブランドの家具を取り入れているほか、瀬戸内周辺のアーティストが手がけた絵画や染め物、陶器などを飾り、落ち着いた雰囲気を演出している。
 食事については、島内で取れた野菜や米などの食材のほか、同社の冷凍食品などを用意。宿泊者が自身で買い求めた食材を合わせて、調理してもらう。
 地元住民からは「空き家だった場所にいろいろな世代の人が訪れてもらえるのはありがたい」「豊島への移住のきっかけになれば」と期待の声が上がっている。宿泊は一棟貸しで2泊以上から。定員は2人から最大4人まで。料金は2人2泊で9万8千円~。予約は良品計画の公式ウェブサイトから。

(四国新聞・2024/04/17掲載)


MUJI BASE TESHIMA


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