香川県内に息づく伝統的な職人の手仕事に焦点を当てた企画展が、香川県高松市亀水町の瀬戸内海歴史民俗資料館で開かれている。第1弾として、香川の伝統的工芸品「讃岐のり染」を紹介。1804(文化元)年創業の大川原染色本舗(同市築地町)が手がける色鮮やかな大漁旗やのれん、油単など約80点が並び、革新を重ねながら受け継がれる技を伝えている。5月19日まで。


大川原家が手がけたのぼり旗や油単が並ぶ企画展=香川県高松市亀水町、瀬戸内海歴史民俗資料館

大川原家が手がけたのぼり旗や油単が並ぶ企画展=香川県高松市亀水町、瀬戸内海歴史民俗資料館


 同館は県内に伝わる伝統技術を把握しようと、1987、88年に150人の職人らを調査。
 さらに昨年度から始めた現状調査で、現在も家業などとして継承されているのは1割程度と分かった。その成果を「伝統と創造」と題した企画展で順次紹介する予定で、今回は大川原染色本舗の6代目静雄さん(89)と7代目誠人さん(61)ののり染作品や作業工程などを中心に展示している。
 讃岐のり染は、もち米を主材料としたのりを防染材として用いて、各色を際立たせる染めの技法。獅子舞の油単や大漁旗、のれんなどに活用されている。6代目静雄さんによる飾り幕「鯉の滝のぼり」は、コイが水流に逆らって力強く泳ぐ様子を描いており、円すい形の和紙の袋にのりを入れ、それを絞り出して線を引く「筒描き」によって輪郭に奥深さが生まれている。
 7代目誠人さんはのり染の新たな可能性を広げようと現代アートを軸に制作活動を展開。今展では、○と×をテーマにしたのれんをはじめ、生活に取り入れやすいハンカチや巾着などを取り上げている。
 同館の長井博志主任文化財専門員は「伝統を守りつつ革新的な表現を追求し続ける職人の手仕事を知ってほしい」と話している。

(四国新聞・2024/04/18掲載)


瀬戸内海歴史民俗資料館



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