香川県善通寺市の総本山善通寺で28日、国指定重要文化財である五重塔の特別公開が始まった。参拝者は、普段は見られない塔からの景色や内部の構造を堪能した。5月6日まで。


五重塔からの眺めを楽しむ参拝者=香川県善通寺市、総本山善通寺


 特別公開は毎年、ゴールデンウイークに合わせて実施している。現在の塔は焼失や倒壊を経て1902年に完成した4代目で、高さ約43メートルは現存する国内の五重塔では3番目の高さを誇る。塔の中心にある「心柱(しんばしら)」は5層目の屋根からつり下げられており、地震の揺れを緩和するとされる。
 見学できるのは初層と2層目。訪れた人たちは初層で、心柱が礎石から6センチほど浮いた様子をまじまじと見たり、阿弥陀、宝生など4体の仏像に手を合わせたりした。
 2層目では、塔の外側部分を体験。こわごわと欄干につかまりながら縁をぐるりと1周し、高さ約7メートルからの境内の爽快な景色を楽しんだ。家族3人で訪れた高知県の男性(59)は「この木組みをどうやって考えたんだろう、今地震が起きたら心柱はどう作用するんだろうと、想像してしまった。いい経験ができた」と満足そうに話した。
 公開は午前9時から午後4時まで。拝観料は一般300円、小中高校生100円。

(四国新聞・2024/04/29掲載)



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