香川県漆芸研究所が2022年度以降に寄贈を受けた作品を紹介する「新収蔵作品展」が、香川県高松市番町の県文化会館で開かれている。重要無形文化財保持者(人間国宝)の磯井如真(1883~1964年)や音丸耕堂(1898~1997年)ら香川漆芸を代表する漆芸家9人の盆や箱、漆額など17点を展示。受け継がれる伝統の技の一端をうかがい知ることができる。19日まで。


磯井如真ら9人の作品が並ぶ新収蔵作品展=香川県高松市番町、県文化会館

磯井如真ら9人の作品が並ぶ新収蔵作品展=香川県高松市番町、県文化会館


 新収蔵作品展は2015年以来2回目。県内の個人や作家本人らが後進の育成に役立ててほしいと寄贈を申し出て、22、23年度で書籍などの資料を含めて数十点が集まった。
 このうち、讃岐漆芸中興の祖と称された如真の「蒟醤(きんま) 香盆(こうぼん) 牡丹唐草文(ぼたんからくさもん)」(1954年)はボタンがモチーフの第1回日本伝統工芸展出品作。朱漆の唐草文様が線彫りによって緻密に施されている。第9回日本美術展覧会に出品した「乾漆(かんしつ) 壺 朝(桑畑に鶏之図)」(53年)では今にも走り出しそうなニワトリを絵画的に表現しており、幅広い作風が見て取れる。
 また、闘争心が強い軍鶏(しゃも)を好んで題材にしていたという音丸耕堂の「木彫 軍鶏額」(90年頃)には、弟子らに日頃伝えていた漢詩「鶏の五徳」を記している。同研究所専門職員の藪内江美さんは「香川漆芸の礎を築いてきた先生方のターニングポイントとなった作品を堪能してほしい」と話している。
 入場無料。問い合わせは同研究所、電話087-831-1814。

(四国新聞・2024/05/02掲載)


香川県漆芸研究所



関連情報