演じ奏でる3世代の夏 土庄・肥土山農村歌舞伎舞台 東京の楽団、300人魅了
バンド演奏と演劇を融合させた舞台を披露している「路地裏ナキムシ楽団」(東京)の公演が11日、香川県小豆郡土庄町の肥土山農村歌舞伎舞台(国指定重要有形民俗文化財)で始まった。小豆島の古道具屋を舞台にした青春物語で、昭和から平成にかけて3世代の夏の思い出を描いており、場面にマッチした歌や演奏、初夏の日差しに輝く新緑に囲まれた舞台の雰囲気が相まって、桟敷を埋めた約300人の観客を物語の世界に引き込んだ。12日まで。
同楽団の役者と地元有志でつくる瀬戸内・小豆島芸術文化推進プロジェクト実行委員会のメンバーの縁で2020年に公演の準備が進んでいたが、新型コロナウイルス感染症の拡大で中止。仕切り直しとなった今回の公演に向け、同楽団が小豆島を舞台にした脚本に書き直した。
小豆島の古道具屋に一人の青年が持ち込んだ「古い鍵」をキーワードに、戦争でばらばらになってしまった家族や、生活が苦しい中で必死に生きようとする兄妹など、戦中戦後の厳しい時代に夢を追いかけることを断念した世代の思いを描いている。
「やりたいと思ったことは、あきらめずに全力で追いかけて」など次世代への思いを込めたせりふや、場面の節目に響く楽曲演奏や歌に大きな拍手が送られた。
12日の公演は午後1時半から。問い合わせは同実行委0879-62-5511。
(四国新聞・2024/05/12掲載)