戦時下の盆栽写真70点 日系移民の労苦伝える 塩江美術館で26日まで
香川県高松市塩江町の高松市塩江美術館開館30周年を記念した写真家茂呂毅(もろたけし)さんの作品展「ジャパニーズアメリカンボンサイ」が同館で開かれている。第2次世界大戦下を生きた日系米国人が心のよりどころとしていた松盆栽の写真約70点を紹介。100年以上前に日本から米国に渡った移民の労苦や望郷の思いを伝えている。26日まで。
埼玉県出身の茂呂は現在米サンフランシスコを拠点に活動。2015年度には国内外の気鋭の芸術家が滞在制作する「高松アーティスト・イン・レジデンス」に参加するなど高松市とも縁深い。
同館によると、被写体の盆栽は第2次大戦中、米国の強制収容所に抑留された日系1、2世が終戦後に育てたもの。収容所から解放後、日系人たちは生活の再建に苦労しながらも、松の手入れや仲間との交流によって安らぎを得ていたという。茂呂さんは盆栽の制作者が亡くなった後、作品を一括管理していた盆栽師との出会いをきっかけに撮影してきた。
会場には盆栽の実物大の写真を展示。いずれも幹が傾いたり枝が折れたり、根がむき出しになったりと形は整っていないが、過酷な状況を生き抜こうとした人々の力強さが感じ取れる。収容所があった場所の写真も並ぶほか、まんのう町の愛好家が育てた実物の盆栽と山野草も紹介している。
入場料は一般300円ほか。問い合わせは高松市塩江美術館、電話087-893-1800。
(四国新聞・2024/05/15掲載)