アートがつなぐ「分断」 スロベニア、オーストリアの3人 坂出 レース、写真、詩、三様に
アルプス山脈を挟んで南北に位置するスロベニアとオーストリアの芸術家3人による特別企画展「Sound@Alps」が18日、香川県坂出市寿町の市民美術館で始まった。レース、写真、詩と、三者三様の表現方法で作品を制作。異なる文化をアートでつないだ空間が来場者を魅了している。6月9日まで。
同展は、海外文化に触れ、新たな価値観の創造や国際社会への理解を促そうと市教委と同館が初めて開催。今回、地理的条件に加え、新型コロナウイルスや紛争などにより分断された社会をアートでつなぐことをコンセプトに掲げ、オーストリアとスロベニアという、県人にはなじみの薄い2国のアーティストに出展を依頼した。
スロベニアから写真や音響、文学などを組み合わせたトランスメディア・アーティストのエヴァ・ペトリッチさん、オーストリアは画家で写真家のクラウス・クロバートさんと、詩人のエルヴィン・ウーアマンさんの2人が参加した。
ペトリッチさんは、幾何学的な模様に編んだ縦3メートル、横5・8メートルのレースで壁一面を覆ったインスタレーション、クロバートさんは、希望を象徴する子どもの顔など3枚組の連作写真、ウーアマンさんは詩と落ち葉のハーバリウムなど、3人合わせて約100点を出品した。
初日は同館で開展式があり、有福坂出市長や駐日スロベニア大使館のヤカ・ミクラウチッチ公使、県内のアートファンら約100人が出席した。アーティストの3人も参加して制作パフォーマンスを披露、作品解説も行った。
クロバートさんは「空気がきれいで緑も豊か。食事もすばらしく、坂出と恋に落ちた」と街の印象を笑顔で話し、「境界をなくしたいというのがわれわれのテーマ。互いを尊重する心やコミュニケーションの重要性を感じてもらいたい」と来場を呼びかけた。
月曜休館。入館料は300円(高校生以下、65歳以上などは無料)。問い合わせは同館0877-45-7110。