江戸期以降に使われていた道具から人々の「おでかけ」に着目した収蔵品展「おでかけ展」が、香川県高松市昭和町の市歴史資料館で開かれている。野弁当やびょうぶ、書など約50点が並び、日常にささやかな変化を求めた昔の人たちの思いを感じることができる。6月30日まで。


江戸期以降に使われていた道具から人々の「おでかけ」に着目した収蔵品展=香川県高松市昭和町、市歴史資料館

江戸期以降に使われていた道具から人々の「おでかけ」に着目した収蔵品展=香川県高松市昭和町、市歴史資料館


 昔と今で、「おでかけ」のあり方がどう違うか考える機会にしようと企画。会場では「どこへ行く?」「なにを見る? なにをする?」など4章構成で展示している。
 このうち第1章の「なにを持ってでかける?」では、飲食器一式を持ち運べる収納箱「野弁当」が注目を集めている。現在でいうピクニック道具で、上段に銅製の酒注(さけつぎ)、下段には漆塗りの重箱などが収められており、野外で飲食や調理が楽しめる工夫が凝らされている。
 第2章の「どこへ行く?」では、高松藩の御用絵師・狩野厚信(不明―1832年)が描いた六曲一双の「海浜春秋図屏風」を紹介。春の桜や秋の紅葉を盛り込んだ自然豊かな景観の中で沖にこぎ出す人物などが登場し、理想郷のような世界観がうかがえる。
 また、讃岐国の旧跡や名勝を郡ごとに記述した「讃岐国名勝図会」(53年)や、遠馬を予定する藩主のために村役人らが奔走したことを示す書状なども展示。担当した増本有加里学芸員は「何かと忙しい現代人。多様なおでかけのあり方を知って癒やされてほしい」と話している。
 入場料は一般300円ほか。6月8日は学芸員によるミニ講座(先着30人)。問い合わせは同資料館、電話087-861-4520。

(四国新聞・2024/05/23掲載)


高松市歴史資料館



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