「小豆島」という名のハナショウブが、香川県小豆郡土庄町屋形崎のホテルで見頃を迎えている。地元の郷土史家・藤井豊さん(2011年死去)が明治神宮(東京)のハナショウブ園で見つけたのをきっかけに1987年から栽培を始め、藤井さんから株を譲り受けた女性が昨年2月、同ホテルなどに株分けした。薄紫色の花がそよ風に揺れ、優雅な雰囲気を醸し出している。見頃は今月20日ごろまで。


日差しに輝く薄紫色のハナショウブ「小豆島」を観賞する観光客=土庄町屋形崎

日差しに輝く薄紫色のハナショウブ「小豆島」を観賞する観光客=土庄町屋形崎


 藤井さんが生前発行していた「小豆島新聞」によると、藤井さんが74年に明治神宮を訪れた際、ハナショウブ園に「小豆島」と書かれた立て札があるのを見つけた。社務所に株分けを打診すると「公的機関になら可能」との返答があり、県農業試験場を通じて申し込んだ。「小豆島」の名前の由来は、明治神宮に資料が残っていないため分かっていない。
 藤井さんと親交のあった土庄町の女性が2006年に株を引き継ぎ、自宅の庭などで徐々に増やした。昨冬、多くの人たちに見てもらえるよう、広大な庭園を整備しているオリビアン小豆島夕陽ケ丘ホテルなどに花株を寄贈。同ホテルでは5月下旬から花が咲き始め、連日開花しているという。
 家族3人で訪れていた北九州市の原ひろ子さん(76)は「上品な形、優しい色合いで穏やかな気持ちになる」と話していた。

(四国新聞・2024/06/12掲載)



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