香川県小豆郡小豆島町坂手の小豆島霊場1番札所・洞雲山(白石行永住職)で12日、洞窟の岩肌に差し込む光と影のコントラストで生まれる「夏至観音」が姿を現した。参拝者らは荘厳なたたずまいに息をのみ、熱心に手を合わせていた。


岩肌に差し込んだ光と影で荘厳な姿を現した「夏至観音」=小豆島町坂手、洞雲山

岩肌に差し込んだ光と影で荘厳な姿を現した「夏至観音」=小豆島町坂手、洞雲山


 1年で昼の時間が最も長い夏至(今年は21日)を挟んだ約50日間のうち、晴天の日の午後3時ごろから数分間だけ見ることができる自然現象。同寺によると、1989年にお遍路さんが偶然気付いて以来、この時季に多くの参拝者が訪れるようになったという。
 快晴だったこの日は、岩肌に強い日差しが差し込むにつれ、観音立像のシルエットが足元から徐々に伸び上がるように出現。3分ほどで高さ約3メートル、錫杖(しゃくじょう)を手に持ち、冠をかぶったように見える全身がくっきりと浮かび上がった。
 山伏のほら貝の音色や白石住職の読経が響く中、参拝者は、神秘的な姿を見つめながら、写真を撮影したり、一緒に読経したりしていた。夫婦で訪れていた大阪府吹田市の自営業、杉浦勉さん(75)は「初めての参拝で神々しい姿を見ることができて感激している。本当にありがたいこと」と話していた。

(四国新聞・2024/06/13掲載)



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