光、時間、情報、動きの非物質的な要素をモチーフにした作品を取り上げるコレクション展「うつしとる」が、香川県高松市紺屋町の市美術館で開かれている。捉えがたい対象に向き合う作家たちの絵画や映像、陶芸作品が並び、想像を刺激する空間が広がっている。7月7日まで。


光、時間、情報、動きをモチーフにした作品を紹介するコレクション展=高松市紺屋町、市美術館

光、時間、情報、動きをモチーフにした作品を紹介するコレクション展=高松市紺屋町、市美術館


 今回は現代美術家14人の作品を紹介。写実的に描く「スーパーリアリズム絵画」で知られる上田薫や、ドローイングアニメーションの手法を用いる映像作家・石田尚志、新聞記事などを転写した陶芸作品を展開する三島喜美代らによる23点を展示している。
 23年度収蔵作品の上田による油彩画「皿の上の炎」(1988年)は「ヒロシマ」がテーマ。自身の幼少期の家族写真が皿の上で燃える様子を描いており、戦争がひとたび起こると日常が奪われ、人々の大切な時間や人生が失われてしまうという強いメッセージ性がうかがえる。
 また、三島の陶芸作品「Newspaper」(72―73年)は、英字新聞で何かを包んだ様子を表現。割れやすい陶器と情報化社会への不安感を結びつけており、作家の社会に対する思索が垣間見える。
 入場料は一般200円ほか。22日午後2時から学芸員によるギャラリートークがある。問い合わせは同館、電話087-823-1711。

(四国新聞・2024/06/20掲載)


高松市美術館



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