小豆島観光協会は、香川県小豆郡小豆島町中山地区の豊かな自然や歴史を巡るガイド付きの散策ツアーを今春から始めた。研修を受けた住民が交代でガイドを担当。美しい棚田や農村歌舞伎が行われる「中山の舞台」(国指定重要有形民俗文化財)などを丁寧な説明とともに紹介し、“日本の原風景”を体感してもらう。


ガイドの案内で中山千枚田を見て回るモニターツアーの参加者=小豆島町中山

ガイドの案内で中山千枚田を見て回るモニターツアーの参加者=小豆島町中山


 ツアーは県の補助を受けて、同協会が昨年から準備を開始。5回のガイド研修を修了した地元住民ら10人が案内役を担当し、5月から販売を開始した。
 21日には、ツアーの魅力を知ってもらおうとモニターツアーを実施。県内外から行政関係者ら7人が参加した。
 棚田「中山千枚田」では、ガイドが同地区の湯舟山(標高400メートル)の湧き水は雨量が少ない年でも枯れることなく1日300トンを湧出することや、棚田の歴史について説明。「縦横に巡らせた水路と田んぼの巧みな配置で、全ての田畑に良質な湧き水が行き渡る。昼夜の寒暖差で、おいしい米が収穫できる」と紹介すると参加者は納得の表情を浮かべた。
 中山の舞台では普段は入ることのできない衣装小屋や舞台下なども見学。全国的にも珍しい大型人形を使ったデコ芝居の人形に触れたほか、人力で動かす回り舞台や幕を滑らかに開け閉めできる工夫などについて聞き取った。
 一行は地元の食材を使った食事を提供する「こまめ食堂」にも立ち寄り、地魚やそうめん、おにぎりなどを堪能した。
 参加した東京の学芸員の女性は「ガイドによる案内のおかげで疑問に思ったことがすぐに理解できてよかった。中山の魅力の奥深さを感じた」とにっこり。主に中山の舞台についてガイドを担当した同町の谷久智己さん(58)は「案内板などでは伝わらないことも多い。分かりやすい説明ができるよう勉強を重ねていく」と話していた。
 ガイド付き散策ツアーは11月末までの土、日曜に開催(イベントなどの際は中止)。食事付きで約3時間。料金は1人8千円。申し込み、問い合わせは小豆島観光協会、電話0879-82-1775。

(四国新聞・2024/07/31掲載)


小豆島観光協会


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