スロベニアの巨匠回顧 10日から坂出市民美術館 版画や水彩画100点
スロベニア美術界を代表する画家で版画家のヨージェ・ツィウハ氏(1924~2015年)の生誕100周年を記念した回顧展が10日、香川県坂出市寿町の市民美術館で始まる。同館によると、同氏の個展は国内初。世界を旅し、さまざまな文化や芸術との出合いから生まれた独自性の高い作品が来場者を迎える。9月1日まで。
スロベニアは世界最大規模の公募展「美術展リュブリャナ国際版画ビエンナーレ」を開催するなど、版画大国として知られる。ツィウハ氏は同国でも中心的作家として美術界をけん引した巨匠。フランスの芸術文化勲章やオーストリア国家賞など、国内外で数々の受賞歴がある。
今回の回顧展は、スロベニアでアート活動を行っていた同館の寒川典昭館長が、生前のツィウハ氏や長男で現代美術家のペテル・ツィウハ氏と交流があったことから開催が決まった。版画や水彩画など約100点を展示する。
ツィウハ氏の版画は、細長い指を持つ異形の人造人間ホムンクルスをモチーフに、黒と青を基調としたダークな印象を与える作品が多い。水彩画は一転、透明感のある色彩で、作家としての多面性がうかがえる。
開幕を前にペテル氏が来県し、準備作業を行っている。ペテル氏は「世界を旅した父の作品の中に、多様な文化のつながりを見てもらえればうれしい」と来館を呼びかけている。
入館料は一般300円ほか。初日の10日は午後2時から開展式があり、ペテル氏が作品解説を行う。
問い合わせは坂出市民美術館、電話0877-45-7110。
(四国新聞・2024/08/08掲載)