接着剤や釘などを使用せず木材を組み合わせる継手の一つ「四方十字組手(しほうじゅうじくみて)」を用いた立体作品を制作する福井一真(44)の個展「cubeforest」が、香川県高松市塩江町の市塩江美術館で開かれている。無数の立方体が組み合わさって生まれたユニークな形は、見る人の想像を膨らませている。9月8日まで。


四方十字組組手を利用した立体作品を紹介する福井さん=高松市塩江町、市塩江美術館

四方十字組組手を利用した立体作品を紹介する福井さん=高松市塩江町、市塩江美術館


 福井は京都市出身。木材に切り込みを入れて曲げる「挽曲(ひきまげ)」を利用した格子状の造形作品を経て、2011年頃から立体に着目。愛媛大教育学部准教授を務める傍ら、四方十字組手を駆使した「cubework」シリーズの制作に取り組んでいる。
 今展は新作4点を含む9点を展示。新作は塩江美術館の天井の高い内観や、周囲の豊かな自然から着想を得たという。このうち、高さ4メートルに及ぶ「cubeforest1」は、1辺が約60センチと約90センチの立方体を組み合わせながら構築した作品。ホームセンターで購入可能なホワイトウッドを使い、自重で壊れないよう会場で12時間かけて完成させたという。
 また、焦がした赤松の美しい黒色が目を引く作品群も。角材を300本使い、組手が千カ所ある正立方体の「cubeforest1000」も見応えがある。福井は「見る角度によってさまざまな形が浮かび上がる。作品の多彩な表情を楽しんで」と話している。
 同館の開館30周年記念展の第3弾。入場料は一般300円ほか。問い合わせは高松市塩江美術館、電話087-893-1800。

(四国新聞・2024/08/26掲載)


高松市塩江美術館



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