猪熊のまなざし感じて 人や動物描いた35点 丸亀・来月23日まで
人物や動物などさまざまなモチーフを表現した洋画家・猪熊弦一郎(1902~93年)の画業全体を振り返るコレクション展「猪熊弦一郎展 人や動物や物々」が、香川県丸亀市浜町の市猪熊弦一郎現代美術館で開かれている。初期から晩年までの約35点を通じ、多様な存在に目を向けた画家のまなざしが感じられる。9月23日まで。
同館によると、猪熊は東京美術学校(現東京芸大)在学中から人物画を多く手がけ、戦後からは猫が重要なモチーフとして登場。抽象的な作風へと変化した米ニューヨーク時代にも街の人々を表現した。東京とハワイに拠点を移した後は動植物だけでなく機械のような描写が見られ、晩年にはこれまでのモチーフが画面の中で共存するようになったという。
会場ではこれらの作品を年代順に展示。このうち、晩年の作「不思議なる会合」には人や猫、ヤシの木といった動植物に加え、ビルのような構造物も見られ、青色を基調とした画面の中で調和するように描かれている。
ニューヨーク時代に手がけた「小説新潮」の表紙絵も見どころ。子どもと一緒にベビーカーに乗る犬など日常の一場面を切り取った絵が並び、猪熊の所感とともに鑑賞できる。担当の竹崎瑞季学芸員は「画家の目で捉えた多様な存在を楽しんでほしい」と話している。
入場料は一般300円ほか。問い合わせは丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、電話0877-24-7755。
(四国新聞・2024/08/29掲載)