瀬戸内海の貝などにスポットを当てた企画展が、香川県東かがわ市引田の市歴史民俗資料館で開かれている。市内在住の男性が県内で採集した海産貝類の標本を中心に約150点を展示。貴重なコレクションの数々が、来館者の関心を引きつけている。30日まで。


多田さんが収集した貝類が並ぶ企画展=東かがわ市引田、市歴史民俗資料館

多田さんが収集した貝類が並ぶ企画展=東かがわ市引田、市歴史民俗資料館


 企画展は、瀬戸内海国立公園指定90周年を記念し、「瀬戸内海の貝、屋島の陸貝」と題して開催。標本は貝類のアマチュア研究家、多田昭さん=同市三本松=が収集したもので、貝類研究者として博士号を持つ瀬尾友樹さん=宇多津町=の指導に基づいて展示している。
 コレクションは多田さんが県内各所で集めたもの。瀬尾さんによると、1950~70年代に生息していた種をまんべんなく採集し、体系的に標本化しているのは瀬戸内海地域では珍しいという。現在では、瀬戸内海で確認できなくなった巻き貝の一種「ミガキボラ」や、東讃地域では見かけなくなっている二枚貝の一種「オチバガイ」などの展示もあり、水質や環境の改変に伴う生態系の変化を学ぶことができる。
 多田さんは約60年間、カタツムリの収集や分類・研究にも取り組んでおり、会場では同公園を象徴する景勝地の屋島で見つけた陸産貝類も紹介。同公園の指定に大きく貢献した小西和が1911(明治44)年に著した「瀬戸内海論」の初版なども展示している。
 多田さんは「多くの人に展示している標本を見てもらい、瀬戸内海の環境が変化していることを知ってほしい」としている。
 開館時間は午前9時~午後5時(入館は同4時半まで)。無料。火曜休館。問い合わせは東かがわ市歴史民俗資料館〈0879-33-2030〉。

(四国新聞・2024/09/02掲載)


東かがわ市歴史民俗資料館



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