香川県高松市の書道家で現代アーティスト・郷祥の個展が同市中野町の珈笛画廊ほのほで開かれている。自然現象など目に見えないものを墨と余白で可視化した37点が並び、書のイメージを覆す空間が広がっている。10月6日まで。


風などをテーマにした作品について解説する郷祥=高松市中野町


 郷祥は丸亀高出身。高松市を拠点に東京などで個展を開いているほか、県の観光プロモーション動画に携わったり、県内の飲食店の揮毫(きごう)を手がけたりと幅広く活動している。2023年には市文化奨励賞を受賞した。
 会場では「光」や「人間の個性」などをテーマにしたシリーズの新作を紹介。このうち「風」シリーズは、変幻自在な風と人工的な窓をモチーフに制作。猛威を振るう自然とそれに対峙(たいじ)する人間、決して交わることのない両者を曲線と直線で表したという。
 「単に美しい作品ではなく、唯一無二の表現を目指している」と郷祥。制作は「書く」のではなく、キャンバスに落とした墨をペインティングナイフなどで拭き取る「引き算」の手法をとる。余白の美しさや、余分な要素を削って本質を浮き彫りにすることなど、日本人の精神性も盛り込んでいる。
 「日本の書を世界に認められるアートに昇華させることで、担い手を増やしたい」と話している。
 入場無料。問い合わせは珈笛画廊ほのほ、電話087-833-2308。

(四国新聞・2024/09/05掲載)



関連情報