香川県観音寺市大野原町との県境にある四国霊場66番札所・雲辺寺(徳島県三好市)で、涼しげな薄紫色をしたギボウシの花が参拝者を優しく出迎え、初秋の訪れを告げている。


雲辺寺の参道沿いに咲くギボウシ=徳島県三好市


 ギボウシはユリ科の多年草で山間部に自生し、茎の先に下から上へと筒状の花をつける。漢字では「擬宝珠」。つぼみの形が寺社の高欄や橋の欄干の柱頭部を飾る擬宝珠(ぎぼし)に似ていることから名付けられたという。
 同寺では、アジサイが見頃を終えて紅葉が始まるまでの時季に境内に彩りを与えたいと、淵川敬心住職の発案で10年以上前から植栽を始めた。参拝者の目に触れやすい場所に株分けを進めており、雲辺寺ロープウェイ山頂駅そばの花壇をはじめ、参道沿いや本堂、五百羅漢像の付近など至る所でめでることができる。見頃は20日ごろまで。
 松山市から友人3人と訪れた岡田みどりさん(76)は「ロープウエーを降りた途端、ぱっと目に飛び込んできて印象深い。ギボウシの花だと友人に教わったので、帰って調べてみたい」と興味を引かれた様子だった。

(四国新聞・2024/09/05掲載)



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