丸亀城内の丸亀市立資料館(同市一番丁)で企画展「丸亀の歴史を彩った女性たち」が開かれており、江戸時代の女性文学者の井上通女(つうじょ)、昭和に活躍した女性画家の山下紅畝(こうほ)らの作品や資料などを展示している。通女が江戸藩邸での生活をつづった直筆の「江戸日記」は5年半ぶりの公開で、来館者の関心を集めている。25日まで。


丸亀ゆかりの女性たちの功績を紹介する企画展=丸亀市一番丁、市立資料館

丸亀ゆかりの女性たちの功績を紹介する企画展=丸亀市一番丁、市立資料館


 企画展では、女性が社会の表舞台で活躍を見せる機会がほとんどなかった時代の中でも、さまざまな分野で輝きを放った丸亀ゆかりの女性を紹介している。

 井上通女(1660~1738年)は幼少から和歌や漢学を学び、22歳で丸亀藩2代藩主の母・養性院に江戸に招かれた。江戸日記を含む三つの日記は「通女三日記」と呼ばれ、江戸時代の女性が記した日記文学の最高峰として多くの人に読まれた。企画展では江戸日記のうち、養性院の弟の藤堂高通に「通女の作った和歌や漢詩は清少納言や紫式部のようにすばらしい」と褒められたと記した部分を公開している。

 山下紅畝(1884~1977年)は市出身で東京女子高等師範学校(現お茶の水女子大)に入学。上京後、画業の研さんを積み、帝展にも入選。結婚して一時絵筆を置くが、死別後は丸亀に戻り、中津万象園の一室で画業にいそしむ傍ら多くの弟子を育てた。会場にはカトレアやコスモス、セキレイなどを描いた繊細で温かな作品が並ぶ。

 初代藩主の祖父京極高次の妻で浅井三姉妹の次女、初(1570~1633年)の肖像画は、優しく穏やかな人柄だったという初の容貌が表されている。女性勤王家の村岡箏(こと)子(1815~70年)の展示では、勤皇の志士をかくまった市内の屋敷の地下室に置かれ、石壁の隙間から落ちる水滴を受けたという水がめが来館者の目を引いていた。

(四国新聞・2019/08/10掲載)

丸亀市立資料館


所在地 香川県丸亀市一番丁(城内)
開館時間 9:30~16:30
休館日 月曜日、祝日、年末年始
TEL 0877-22-5366

丸亀市立資料館


丸亀市立資料館

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