どぶろく造りで知られる香川県三豊市豊中町の宇賀神社(大宮良平宮司)で17日、今秋に醸造したどぶろくの口開け式が行われ、氏子らが乳白色の新酒の出来栄えを確かめた。19、20両日に開催される秋大祭で参拝者への振る舞いがある。


古式ゆかしく、石臼を使ってどぶろくを仕上げる氏子総代=香川県三豊市豊中町、宇賀神社

古式ゆかしく、石臼を使ってどぶろくを仕上げる氏子総代=香川県三豊市豊中町、宇賀神社


 同神社のどぶろく造りは300年以上の伝統を持ち、古式にのっとった製法を杜氏(とうじ)が口伝えで守り継いできた。五穀豊穣(ほうじょう)を祈願して春と秋の年2回醸造しており、春は伊勢神宮に奉納している。
 今秋は9月26日に仕込みを開始。地元産の酒米オオセトを使い、境内にある「御神酒殿(おみきでん)」で280リットルのどぶろくを醸造した。
 口開け式に合わせて、石臼で米や米こうじをひく仕上げの作業が公開され、芳醇(ほうじゅん)な香りが漂う中、とろりとして白く濁ったどぶろくが木樽(きだる)に注がれた。アルコール度数は20度ほどで、杜氏の赤瀬好生さん(52)は「例年通り、おいしく出来上がった。大勢に味わってほしい」と話した。
 神事では、どぶろくの新酒を神前に奉納。「直会(なおらい)」で出席者が早速口にして味や香りを確かめ、「辛口だが、飲み口がいい」などの声が上がった。
 氏子総代の大西純夫さん(70)は「今年は総代7人が全員交代し、大変だったが、皆さんに相談しながら進めてきた。口開け式を迎えられ、ほっとしている」と頰を緩めた。

(四国新聞・2024/10/18掲載)



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