国の伝統的工芸品である香川漆器を展示販売する「香川の漆器 伝統工芸士まつり」が17日、香川県高松市の栗林公園商工奨励館で始まった。今回は香川漆器と、能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県輪島市の伝統工芸「輪島塗」がコラボレーションした手鏡とぐい飲み計6点を初披露。両県の匠(たくみ)の技を結集した逸品が、来場者を魅了している。21日まで。


香川漆器と輪島塗のコラボレーション作品を鑑賞する来場者=香川県高松市、栗林公園商工奨励館

香川漆器と輪島塗のコラボレーション作品を鑑賞する来場者=香川県高松市、栗林公園商工奨励館


 今回で40回目となるまつりは、香川漆器と伝統工芸士の技術を広く知ってもらおうと香川漆器伝統工芸士会(有岡良員会長)などが毎年開催。業者と作家の県内13組が蒟醤(きんま)、存清(ぞんせい)、彫漆(ちょうしつ)、後藤塗、象谷塗の5技法を生かした食器や花器、アクセサリーなど約2千点を出品している。
 コラボレーションした作品は、輪島市の蒔絵(まきえ)師で震災以降は高松市内で避難生活を送る和宗(わそう)貴徳さんと、いずれも香川漆器の伝統工芸士岡田哲吉さん、後藤孝子さん、佐々木博さんの4人が制作。それぞれ彫漆や後藤塗を施した作品に、和宗さんが漆で絵を描き金粉をまきつける蒔絵をあしらった。
 このうち、赤のグラデーションが特徴的な手鏡「秋草文様 萩」は、何層も塗り重ねた色漆を彫る彫漆を駆使。その上から蒔絵でハギやキキョウなどを描き、夕景の中で揺れる秋草を表現している。和宗さんは「香川漆芸と輪島塗の両方の味わいを生かすようなデザインに試行錯誤した。今後もお互いに協力しながら新しい作品を生み出していきたい」と意気込みを語った。
 会場の一角では、伝統工芸士の指導で盆や箸などを制作する体験コーナー(有料)も実施している。

(四国新聞・2024/10/18掲載)


第40回 香川の漆器 伝統工芸士まつり



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