古代米ビール、爽やか 宇多津の6事業者開発 町内で提供、誘客ツールに
香川県綾歌郡宇多津町の特産品・古代米を使用したクラフトビール「UTAZU BEER(宇多津ビール)」が完成した。豊かな香りとすっきりとした飲み口が特徴で、町内の飲食店などで提供を始めた。製造者は「宇多津を知り、訪ねてもらうきっかけとなるようなまちのPRツールにしたい」と意気込んでいる。
ビールを造ったのは、町内で宿泊、農業、飲食業を手がける6事業者でつくる「宇多津古今をつなぐ協議会」(村松享会長)。同協議会では昨年の設立以降、インバウンド(訪日客)増を視野に地域資源を活用した食事や体験を提供する体験型プログラムの開発に取り組んでおり、事業の一環として今春から、古代米を素材に使ったビールの開発に乗り出していた。
古代米は町内の複数の農家が生産組合を立ち上げ、休耕田を活用して約3ヘクタールで栽培している。目に良く、動脈硬化の予防などにも効果的とされるアントシアニンを含んでおり、現在、飲食店や学校給食などに提供しているほか、日本酒の原料としても使われている。
今回副原料として、古代米の中でも原種に近い紫黒苑を使ったところ、深いコクのある味わいながらキレも良いビールが誕生。誰でも楽しめるようアルコール度数4%と低めに抑えた。丸亀市北平山町のミロクブルワリーで醸造し、今月初旬に330ミリリットル入りの瓶600本分が完成した。ラベルは、村松会長が描いた宇多津の町並みがモチーフのイラストを採用した。
価格は1本825円。料亭の寿美久満と公楽で提供するほか、うたづ海ホタル、くぼさんのとうふなどで順次販売を始める。売れ行きなどを見て、第2弾、第3弾の製造も検討する。村松会長は「瀬戸内エリアの爽やかさを感じられる仕上がり。地元住民と来訪者らとの潤滑油の役割を担えれば」と話している。
(四国新聞・2024/10/29掲載)