香川県丸亀市綾歌町出身の美術家・工藤政秀(横浜市在住)の個展「物語を編む」が、まんのう町中通のことなみ未来館アートエコーギャラリーで開かれている。作家自身の記憶から生み出された平面と木彫作品38点がノスタルジックな空間を生み出している。11月3日まで。


「作品から時間の流れを感じてほしい」と話す工藤=香川県仲多度郡まんのう町中通、ことなみ未来館

「作品から時間の流れを感じてほしい」と話す工藤=香川県仲多度郡まんのう町中通、ことなみ未来館


 工藤は欧州やアジアなど国内外で作品を発表。まんのう町などを舞台にした「かがわ・山なみ芸術祭」にも参加したほか、国営讃岐まんのう公園にも立体作品を展示しており、今回の個展はこうした縁から開催が決まった。
 工藤の平面作品は、画布に偶然できるしわの線と無機質な直線を組み合わせることで、輪郭をぼかして表現するが特徴。会場には過去に訪れたイタリアの丘や廃校のピアノ椅子、自身の顔をモチーフにした作品が並び、どこか物語性や温かみが感じられる作風となっている。植物をかたどった木彫作品もあえて写実的にはせず、想像を広げる余地を残している。
 工藤は「物は形を定めず常に揺れ動いている。私の記憶を込めた作品から時間の流れを感じてほしい」と話している。
 入場無料。問い合わせは同館、電話0877-89-4626。

(四国新聞・2024/10/31掲載)



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