瀬戸内をテーマに、香川県と東京芸術大が連携した美術展「海は人を愛する『ひと⇄うみ』展」が、香川県高松市庵治町の「香川大学 芸術未来研究場せとうち」で開かれている。第一線で活躍するアーティストと県内の中高生らが同町を拠点に制作。独創的なアートを通じて人と海の関係性を浮かび上がらせている。11月10日まで。


人と海の関係性をテーマにした作品が並ぶ展覧会=香川県高松市庵治町、芸術未来研究場せとうち

人と海の関係性をテーマにした作品が並ぶ展覧会=香川県高松市庵治町、芸術未来研究場せとうち


 地域の文化芸術を担う人材育成などを目的とした県と東京芸大の連携事業の一環。2022度からは県民がアーティストと一緒に作品制作や展覧会の開催準備に携わる「瀬戸内海分校プロジェクト」として展開している。3回目となる今年は、同大出身作家ら4人と県内の中高生、大学生計48人が参加し、8月に庵治町などで現地調査を行った上で制作。今夏に開設された同研究場の展示第1弾として実施する。
 このうち、イラストレーターの新居俊浩(徳島県)は、海洋研究者ら海に関わる人物6人の肖像画を制作。中高生が行ったインタビューを基に、長靴やカメラといった仕事道具のほか、趣味の一部も描き込み、各人物がそれらをまとめて背負子(しょいこ)で背負っているユニークな構図に仕上げた。新居は「海と向き合う人が抱く思いや背景を知ってほしい」と狙いを話す。
 高松市出身の写真家宮脇慎太郎は、中高生と一緒に庵治町の離島でプラスチックごみを採取。それらを組み合わせて造形したプランクトンの写真を無数に展示することで、海洋環境に迫る脅威を示唆している。
 開館は金、土、日、祝日の午前11時~午後4時。入場無料。問い合わせは香川県文化振興課、電話087-832-3785。

(四国新聞・2024/10/31掲載)


東京藝術大学瀬戸内海分校プロジェクト



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