パソナグループの地方創生(東京)が香川県仲多度郡琴平町の新町商店街で取り組んでいる「地域まるごとホテル」が10月31日、グランドオープンした。空き店舗や空き家5軒を改装して宿泊施設や新たな店舗にし、周辺の飲食店と合わせて地域一帯をホテルに見立て楽しんでもらう事業。訪日客らをメインターゲットに、シャッター街となっている商店街の活性化を目指す。


空き店舗を改装してオープンした施設=琴平町


 金刀比羅宮の表参道からつながる同商店街では、1989年には70店が営業していたが、現在は今回オープンした施設を含めても25店にとどまる。同社は空き店舗対策の一環で、同商店街東端の再開発に着手。2020年に文具店を、新型コロナウイルス禍を挟んだ23年にビール工房を開業していた。
 この日オープンしたのは宿泊施設と日本茶カフェ、ベーグル店。宿泊施設は1棟貸しの客室が5棟あり、最も大きい棟では85平方メートルに最大7人が泊まれる。犬連れ可の棟もある。食事は周辺の飲食店を利用するか、キッチンで調理する仕組み。料金は1泊2日2人で4万4千円から。


訪日客らをメインターゲットにした宿泊施設


 宿泊施設の1階にある日本茶カフェでは、高瀬茶などの四国の茶を使ったスイーツを販売。ベーグル店でも四国の特産品を使用し、ベジタリアンやビーガン(完全菜食主義者)に対応したベーグルを扱う。
 道路に面した場所には、坂出市の造形作家・岡山富男さんが制作した高さ4・5メートルの鬼のモニュメントなどを設置し、日本文化をアピール。外壁には、穴吹デザインカレッジの学生がデザインした鬼の壁画が描かれている。
 同社の近江淳社長は「商店街の端から盛り上げていくことで、シャッターの閉まった店が一つ一つ開いていったり、開業にチャレンジしていく人が増えたりしていけば」と期待を寄せた。

(四国新聞・2024/11/01掲載)



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