若冲「百花の図」間近で 金刀比羅宮 修理部分を限定公開
香川県仲多度郡琴平町の金刀比羅宮宝物館で1日、江戸時代の絵師・伊藤若冲(じゃくちゅう)の障壁画「百花の図」の一部の展示が始まった。通常は同宮奥書院に設置されており非公開だが、修理に出していた部分を期間限定で公開。色彩豊かな花や精密なタッチを、間近で見ることができる。30日まで。
百花の図は1764年の作で、6畳ほどの「上段の間」の壁やふすまに、201点の花々が描かれている県指定有形文化財。昨年の同宮での特別展では9年ぶりに奥書院が公開されたほか、今年春には県立ミュージアムの特別展でふすまが展示されたが、普段は見ることができない。
今回公開するのは障壁画上方の一部(縦53センチ、横380センチ)で、長年の間に虫食いなどによる劣化が進んでいたため、壁を取り外して4月から京都の専門機関で修理。木地が露出した部分や紙が薄くなっていた部分を補修した。
描かれているのは、真っ赤な庚申(こうしん)バラや大輪の白いボタン、黄色い菊など11点の花。背景には金箔(きんぱく)を粉にした金砂子(きんすなご)が施されており、絢爛(けんらん)さを醸し出している。ガラス越しに目の前で鑑賞でき、「特別展でも、ここまで近くでは見られない」(同宮学芸課)という。
展示は常設展の中で行われている。拝観料は大人800円、高校生・大学生400円など。
(四国新聞・2024/11/02掲載)