香川県仲多度郡まんのう町在住の美術家原博史の個展が、香川県丸亀市中津町の中津万象園・丸亀美術館で開かれている。多度津町の海岸寺に奉納した障壁画を中心に14点を紹介。墨で表現した多度津ゆかりの風景画などが並び、モノクロームの幽玄な世界が広がっている。22日まで。


海岸寺に奉納したふすま絵について解説する原=丸亀市中津町、中津万象園

海岸寺に奉納したふすま絵について解説する原=丸亀市中津町、中津万象園


 原は幼少期を多度津町で過ごし、県内の高校や大学で教壇に立つ傍ら国内外で作品を発表。2013年からは「かがわ・山なみ芸術祭」などのイベントも企画している。今回の個展は、21年の「たどつアートフェスティバル」で海岸寺に出展・奉納した3点の障壁画を多くの人に見てもらおうと開催した。
 このうち、ふすま絵「屏風浦山水図」は弘法大師空海の伝承が残る屏風ケ浦がモチーフ。手前に見える海岸寺に対して、奥に連なる山を大きくデフォルメして描く「逆遠近法」を用いており、山の雄大さや神秘的な空気感を漂わせている。反対の面にはJRの駅周辺や桃陵公園といった多度津を代表する九つのスポットを鳥瞰(ちょうかん)図であしらい、味わい深い街の姿が楽しめる。
 生命の尊さを伝えようと、近年取り組む抽象画も紹介。和紙を火であぶった際にできる模様と意識的に引いた無数の線を組み合わせたもので、「今日を生きる力」「無になることはない」などさまざまなメッセージを込めている。
 原は「多度津の街並みは私にとっての原風景。歴史が詰まった奥深い土地であることを知ってほしい」と話している。
 入場料は一般500円ほか。問い合わせは同館、電話0877-23-6326。

(四国新聞・2024/12/05掲載)


中津万象園・丸亀美術館



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