現代社会の「ホーム」とは 国内外7人の40点紹介 猪熊美術館 来月13日まで
香川県丸亀市浜町の市猪熊弦一郎現代美術館で、歴史や記録、居場所などをキーワードに、国内外の現代アート作家7人の作品約40点を紹介する企画展「ホーム・スイート・ホーム」が開かれている。新型コロナウイルス禍や紛争、難民問題などに直面する現代社会人にとっての「ホーム」とは何かを浮かび上がらせようとしている。来年1月13日まで。
出展しているのは、マリア・ファーラ(フィリピン出身)、潘逸舟(中国出身)、石原海(東京出身)、竹村京(同)、鎌田友介(神奈川県出身)、リディア・ウラメン(アルジェリア出身)、アンドロ・ウェクア(ジョージア出身)。
ファーラは幼少期に過ごした山口県下関市での記憶や、さまざまな境遇の下、力強く生きる女性の姿などからインスピレーションを受けて制作した絵画を出品。女性を描いた作品は後ろ姿が中心で、鑑賞者の想像力をかき立てる。戦時中、焼夷(しょうい)弾実験のため米国で建てられた日本家屋などの調査を基にした鎌田の「Japanese Houses」は、家屋を再現した構造物や写真、映像を通じて、歴史的事象を想起させる空間をつくり出している。
竹村は祖父母の家の様子を描いたドローイングの上に家具などを刺しゅうしたオーガンジー(薄い布)を重ね、失われた風景を再構築。10代の頃、ソ連崩壊の内戦で父を亡くしたウェクアによる子どもとオオカミの像は、オオカミが子どもの背中に鼻を付けている様子がモチーフ。支えているようにも忍び寄っているようにも見え、どこか危うさが漂っている。
担当学芸員は「同じ空間で違う作家の作品が響き合っているのが特徴。違いや共通点を楽しんでもらえれば」としている。
入場料は一般950円ほか。問い合わせは同館、電話0877-24-7755。
(四国新聞・2024/12/12掲載)