生誕115年を記念した作家松本清張(1909~92年)のコレクション展が、香川県高松市昭和町の菊池寛記念館で開かれている。清張の直筆原稿をはじめ、文豪・菊池寛に関する評伝など約20点を展示しており、寛との関係性を浮かび上がらせている。1月13日まで。


松本清張の書籍などが並ぶコレクション展=香川県高松市昭和町、菊池寛記念館


 清張は福岡県出身。文壇デビュー作が直木賞候補に挙がり、53年に「或(あ)る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞、70年には「昭和史発掘」で菊池寛賞を受賞した。「点と線」「砂の器」などの推理小説を数多く残したが、当初は歴史・時代小説を中心に手がけていた。
 展示資料のうち「形影 菊池寛と佐佐木茂索」は、清張が香川で取材した上で寛の生涯を書き留めた一冊。作中で「菊池作品の『ものの見方』などは、いまのわたしに相当影響している」と記しており、文豪に対する思い入れの深さがうかがえる。
 寛の生誕100年時には香川で講演会を開いたことも紹介。また、新聞連載などの直筆原稿からは、一気に書き上げたような筆の迫力が感じられる一方、後から丁寧に校正した形跡も見て取れる。
 担当の久保清子学芸員は「作風は異なるものの、内面描写などに寛の影響が感じられる。両者は顔を合わせたことはないが、清張が寛を尊敬していたことを想像してほしい」と話している。
 入場料は一般300円ほか(研究閲覧室の展示は入場無料)。受付前では「生誕100年 直木賞作家山崎豊子」展も併催。問い合わせは菊池寛記念館、電話087-861-4502。

(四国新聞・2024/12/19掲載)



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