香川県琴平町出身の画家・和田邦坊(1899~1992年)が手がけた絵画などのうち、白と黒色の作品に着目したコレクション展「和田邦坊の白と黒」が、善通寺市大麻町の灸まん美術館で開かれている。「黒ほどコケット(色っぽい)な色彩はない」と独自の感性を持っていた邦坊によるバラエティー豊かな約100点が並び、新たな魅力を体感できる。2月24日まで。


邦坊作品の「白と黒」に着目したコレクション展=香川県善通寺市大麻町、灸まん美術館


 同美術館によると、邦坊は紫色に輝く炭の色や、艶やかな色気を感じる喪服の黒を好み、多くのパッケージデザインにも取り入れていたという。今展では墨絵や鉛筆画をはじめ、包装紙の図案やスケッチブックなども初公開している。
 このうち、墨絵「寺の夜桜」は桜の名所を描いており、墨のぼかしによって春らしい色合いを想像できる。また、屋島や琴平の観光地をスケッチしたノートや、栗林公園の箱松を豪快にあしらったふすま絵(縦1・8メートル、横3・9メートル)も紹介しており、邦坊の多彩な筆致とともに余白の美しさが感じ取れる。
 同美術館の西谷美紀学芸員は「邦坊ならではの黒と白から生まれる、華やかさや力強さを楽しんでほしい」と話している。
 入場料は一般500円ほか。1月11日、2月8日の各日午後2時から学芸員による展示解説。問い合わせは灸まん美術館、電話0877-75-3000。

(四国新聞・2024/12/19掲載)



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