香川県坂出市出身の詩人・池井昌樹さん(71)=東京都在住=の作品展が、同市駒止町のかまどホールで開かれている。画家の故谷内六郎さんの絵に触発された詩の世界には、時代を超えて誰もが共感できる普遍性があり、読む人たちの心を温めている。29日まで。


「どの世代も共感できる心の『原郷』といえる作品を楽しんでほしい」と話す池井さん=香川県坂出市駒止町、かまどホール

「どの世代も共感できる心の『原郷』といえる作品を楽しんでほしい」と話す池井さん=香川県坂出市駒止町、かまどホール


 付属坂出中2年の時、谷内さんの描く週刊誌の表紙絵に衝撃を受け、詩作を始めた池井さん。大学進学のため上京した後に歴程同人となり、詩人の山本太郎さん、草野心平さん、谷川俊太郎さんらと交流しながら精力的に創作活動を続けてきた。芸術選奨文部大臣新人賞のほか、藤村記念歴程賞、現代詩人賞など、数多くの受賞歴がある。
 池井さんの作品展は全国で初めての開催。会場には24編の詩と、詩の源となった谷内さんの絵画のプリントを並べて展示している。「自転車のくず屋のおじさん ハーモニカの夕ぐれ」と書き出した「夕焼けを消す人」は、赤い夕焼けを消防隊が消火する様子を描いたファンタジックな絵画の世界を言葉で表現。「油ぜみ」や「街燈(がいとう)」などの変化を描写し、夕方から夜に至る町の情景を映し出した。
 「優しい雨の」は、女児が顔も見えないくらいに大きな傘を差し、手にもう1本傘を持って出かける「お父さんおかえり」という絵画から着想を得た。すべてひらがなで書かれ、平易な言葉を使いながら、人を思う優しい気持ちにあふれた作品になっている。
 池井さんは「谷内さんの作品は、誰の心にもある『原郷』を表現していて何度見ても飽きがこない。詩を通じて絵画にも興味を持ってもらいたい」と話している。
 入場料300円(70歳以上と高校生以下無料)。開館時間は午前10時~午後5時。月曜休館。問い合わせは同ホール0877-46-2178。

(四国新聞・2024/12/20掲載)


かまどホールからのお知らせ(2024年12月)



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