漆の可能性 追求の歩み グループ「Sinra」作品展 高松・27日まで
香川県内の漆芸家でつくる「さぬきうるし 森羅 Sinra」(綾川町)のこれまでの作品を紹介する「新年うるしあそび。」が北浜アリー内(高松市北浜町)のデザインラボラトリー蒼で開かれている。漆の可能性を追い求めた歩みを伝えている。27日まで(土日祝日のみ)。
Sinraは、若手漆芸家の活躍の場をつくり香川漆芸の継承につなげようと、漆芸家の松本光太が2012年に立ち上げた。現在は松本、はやしくら、土田百合香の3作家で、暮らしに合った漆器づくりをテーマに活動している。
同会場での作品展は5回目。その節目として、本展では初期から最新の作品を一堂に展示。鉋(かんな)やはけなどの道具や木地も並び、制作過程をイメージしながら鑑賞できる。
このうち、庵治石の粉を漆に混ぜて塗る独自の技法「石粉塗り」の食器は、陶器のような滑らかさと色彩の豊かさが際立っている。象谷塗に石粉で模様を付けたカップは、表面は鉄のような見た目だが、内側には木目が見られ質感の違いが面白い。
松本が「心の内を表面化」した蒟醤(きんま)や存清の面。はやしくらによる針金で成形した土台に布を巻き、漆を塗った独創的なオブジェ。花びらが重なるかのように色とりどりの漆を重ねた土田の額面作品も並ぶ。
また、松本が近年取り組んでいる、表面に漆を施したギターも来場者の興味を誘っている。松本は「一つあるだけで食卓が華やぐ漆器づくりに挑戦していきたい」と話している。
入場無料。北浜アリー内のkitahama blue storiesでは、Sinraによる食器などを展示販売。問い合わせは同会場、電話087-823-5220。
(四国新聞・2025/01/09掲載)