漢字だけでなく、外国語や絵を題材に書を手がける書家太田仙鳩(せんきゅう)(徳島県在住)の個展が、香川県高松市塩江町の市塩江美術館で開かれている。南米ペルーの世界遺産「ナスカの地上絵」を取り上げた大作など約40点が並び、自由で伸びやかな書の魅力を伝えている。2月9日まで。


ナスカの地上絵などを題材にした作品について解説する太田=香川県高松市塩江町、市塩江美術館

ナスカの地上絵などを題材にした作品について解説する太田=香川県高松市塩江町、市塩江美術館


 太田は長野県出身。現在は四国大(徳島県)で教壇に立ち、未経験者にも書に興味を持ってもらおうと研究、制作を行っている。塩江町ゆかりの学者・藤沢東畡(とうがい)、南岳らの書の解読にも取り組んでおり、その縁から個展開催が決まった。
 このうち、ナスカの地上絵は「漢字の甲骨文や金文と発想の近さが感じられる」と近年モチーフに。会場では、地上絵にある「コンドル」と「ハチドリ」をあしらった巨大な布を天井に設置しており、晴れた日は天窓から光が差し込み、まるで2羽の鳥が上空へ飛び立っているように見える。
 英語や韓国語、ロシア語など八つの言語の「ありがとう」を重ねて書いた作品は、グローバル化した現代社会を表している。ほかにも「スイミー」で知られるオランダの作家レオ・レオニの絵本の一節など、ユーモアあふれる書が並んでいる。
 太田は「書は文字と絵の中間にある芸術。形としても楽しめるが、そこに込められたメッセージも受け取ってほしい」と話している。
 11日は茶席(要観覧券)が、25日午前11時と午後2時からは作家による展示解説がある。入場料は一般300円ほか。問い合わせは同館、電話087-893-1800。

(四国新聞・2025/01/09掲載)


高松市塩江美術館



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