高松市美術館(香川県高松市紺屋町)の収蔵作品を展示するコレクション展「境界をこえる写真(イメージ)」が同所で開かれている。米ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルや現代美術家森村泰昌らによる作品が並び、写真が芸術表現として発展してきた歩みを伝えている。3月30日まで。


写真が芸術表現として発展してきた歩みを伝えている作品展=高松市紺屋町、市美術館

写真が芸術表現として発展してきた歩みを伝えている作品展=高松市紺屋町、市美術館


 写真は1830年代末に発明されて以来、視覚情報を伝える記録手段としての役割を担ってきた。同美術館によると、20世紀以降に芸術に取り入れられるようになったという。
 本展では15作家の17点を紹介。このうち、米国と仏で活動したマン・レイの「埃の培養」(1920年)は、マルセル・デュシャンの代表作「大ガラス」に積もったほこりを写した作品。時間の経過や偶然性といった概念を写真に落とし込む、画期的な表現を生み出したとされる。
 俳優マリリン・モンローの肖像写真をモチーフにしたウォーホルのシルクスクリーン作品は、容易に複製できる写真の特性を生かしながら、大量生産・大量消費社会を映し出し、新たな視点を提示した。
 森村の「肖像(ヴァン・ゴッホ)」は、自身が名画や歴史上の人物に扮(ふん)して撮影するシリーズの初期の作品。ゴッホの「包帯をしてパイプをくわえた自画像」を題材に、顔を粘土で覆うなど過酷な状態で撮影したという。その血走った目が、片耳を自分で切断したゴッホの狂気と重なる。
 このほか、ビビッドな色彩が目を引く蜷川実花による作品や、寓話(ぐうわ)を基にしたやなぎみわのモノクロ写真なども注目を集めている。
 一般200円ほか。問い合わせは高松市美術館、電話087-823-1711。

(四国新聞・2025/01/16掲載)


高松市美術館



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