香川県内に伝わる奴行列を取り上げる企画展「〈奴(やっこ)行列〉大国香川」が、高松市亀水町の瀬戸内海歴史民俗資料館瀬戸内ギャラリーで開かれている。写真や映像の記録を通じ、地域ごとに異なる多彩な奴行列のあり方を伝えている。2月24日まで。


県内に伝わる奴を紹介する企画展=高松市亀水町、瀬戸内海歴史民俗資料館

県内に伝わる奴を紹介する企画展=高松市亀水町、瀬戸内海歴史民俗資料館


 同館によると、奴行列は江戸時代の大名行列の芸能が地域の祭りに取り入れられたとされ、全国で報告がある約600件のうち約100件が香川に伝わり、全国有数の密度を誇るという。会場では写真で60カ所、映像で48カ所の奴を紹介しているほか、行列に使う道具や衣装も展示している。
 このうち、東かがわ市引田の誉田八幡宮に伝わる「投げ奴」は、持ち手が跳びながら巨大な鳥毛を投げて受ける豪快な芸が見どころ。一方、旧丸亀市や善通寺市では人々が輪になって甚句をうたうなど、行列とは異なる形式が伝わっている。ほかにも、草履や傘を使って舞を披露するものや、子どもたちが奴の芸を担う「小奴(こやっこ)」も見られる。
 実物史料は、坂出市王越町の喜佐波神社の大鳥毛や挟み箱などを陳列。高松松平家から下賜されたと伝わり、地元で大切に受け継がれてきたことを物語っている。
 近年は新型コロナウイルス禍で中断した地域が多く、再開の動きはあるものの、少子高齢化によって次世代への伝承が課題となっている。同展担当の田井静明専門職員は「香川の祭りでは獅子舞や太鼓台が知られているが、奴行列も大きな特徴。バリエーションの豊かさを知ることで、後世に伝える大切さを再認識してほしい」と話している。
 入場無料。2月15日午前10時から同館研修室で、講座「香川の奴風流」(要申し込み、無料)がある。問い合わせは瀬戸内海歴史民俗資料館、電話087-881-4707。

(四国新聞・2025/01/30掲載)


瀬戸内海歴史民俗資料館



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