江戸時代の往来人対策 政所真部家の苦悩紹介 さぬき・おへんろ交流サロン 関連古文書6点初公開
香川県さぬき市前山のおへんろ交流サロンで冬の企画展示「真部家古文書展~境目改め編~」が開かれている。江戸時代に讃岐と阿波の国境(現県境)に位置した寒川郡奥山村(現在の同市多和)で、政務を担っていたかつての庄屋で政所(まんどころ)の真部家に残る古文書のうち、国境を往来する人々の管理に苦悩していた様子が分かる文書を紹介している。2月24日まで。
境目改めとは国境を越えて往来する遍路や旅人の管理について記した古文書。真部家に伝わる古文書約1400点は同市の有形文化財に指定されており、解読を終え、境目改めに関連する資料6点を今回の企画展で初めて公開している。
同館によると、四国遍路は江戸時代に「四国遍路道指南」などの案内記が刊行されたことで庶民の間に広がり、訪れる人は年々増加。一方、国境を越えて多くの人が往来するようになったことで、風紀の乱れなどを懸念した各国が管理体制の強化に努めた背景がある。
今回展示されている6点は、真部家が往来人の対応に苦慮した様子が感じ取れるもので、文章に線を引いて何度も修正している。最終的に対策案を提示する内容の文章を清書しているものの、その後の展開が分かる文書は見つかっておらず、採用されたかどうかは不明という。
同館は「当時の国境の有力者が苦労していたことがよく分かる古文書。江戸時代の人々の生活の一端に触れられる貴重な資料なのでたくさんの人に見てほしい」としている。
入館無料。開館時間は午前8時~午後4時。2月9日午後1時からは同館学芸員による展示解説会を開催する。
(四国新聞・2025/01/30掲載)