幕末に書かれた高松藩士らの書状など紹介する収蔵品展「高松注目 地域からみる幕末史」が香川県高松市昭和町の高松市歴史資料館で開かれている。地震や内戦などで不安定な社会情勢が続いた幕末期、展示品を通じて当時の政治情勢や、市井の生活ぶりを垣間見ることができる。3月16日まで。


幕末に書かれた書状を中心に紹介している収蔵品展=高松市昭和町、市歴史資料館


 会場には、政治の中心地である江戸や京都、大坂などから幕府などの動向を知らせる書簡や絵図など約50点が展示されている。
 1855年の安政江戸地震発生後、高松藩の儒官を務めた藤沢東畡(とうがい)が記した書簡には、10代藩主頼胤(よりたね)と頼聰が無事で藩屋敷も大きな被害を免れたことを記している。
 64年に京都で起きた「禁門の変」の様子をつづったのは高松藩士・市原善助で、江戸の藩屋敷で働く息子に手紙を宛てた。文中では、この変により京都の7、8割が焼失したと思われ、戦死者よりも焼死者の方が多いだろうと推測している。
 このほか、鳥羽伏見の戦い(68年)で幕府方に付いたために朝敵とされた高松藩が、新政府に恭順の意を示すため切腹した小夫兵庫(おぶひょうご)と小河又右衛門(おごうまたうえもん)の首実検の様子を描いた絵図などもあり、当時の情勢が分かる。
 担当学芸員は「現代ではあり得ないと思うところだけでなく、通ずる点も見つかると思うので両方の視点で楽しんでほしい」としている。
 入場料は一般300円ほか。問い合わせは同館、電話087-861-4520。

(四国新聞・2025/02/06掲載)



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