本島にギャラリー完成 建築家の山口さん 旧工場など改修、庭園も 第1弾で写真展、住民ら鑑賞
香川県丸亀市沖の本島にある古い建物群と周辺を一体的に整備した現代アートギャラリー「本島別邸」が16日、オープンした。国内外で活躍する建築家の山口誠さんが手がけたもので、第1弾の展覧会として、共に活動する写真家の公文健太郎さんの作品展を開催。オープニングレセプションも催され、地域住民らと共に島の新たな拠点完成を祝った。
山口さんは東京で建築設計事務所の代表を務め、国内外のさまざまなプロジェクトに参画。近年は日本庭園の構造を研究し、わずかな差を持つ素材が並んで美しさを生み出す「隣り合うマチエール」をテーマに、公文さんと活動を続けている。本島別邸には、こうした要素がふんだんに盛り込まれた。
本島別邸は、敷地面積約3500平方メートルの中に5棟の建築物で構成。元々は明治から昭和中期までに建築され、瓦工場や邸宅などとして使われていたという。
整備を手がけたのは、旅で訪れた山口さんが瀬戸内海と建物群が織りなす景色に引かれ、次代に継承しようと考えたことがきっかけで、2021年に着手。建物は元の状態に近づけるよう補修・改修したほか、敷地内にあった石や島に自生する植物を植栽するなどし、「苔(こけ)庭」や「笹(ささ)庭」などの日本庭園も築造した。
レセプションには地域住民をはじめ、工事関係者や市職員ら約60人が出席。元裏千家今日庵営繕担当で、茶室研究家の遠山典男さんによる茶会が催されたほか、山口さんと公文さんによる本島別邸や展示作品に関する解説もあり、出席者は歴史ある建物と目に映る景色を楽しみながら、作品鑑賞を堪能した。
展覧会は4月13日までで、土日限定(午前11時~午後4時)で開催。入場料2千円。今後は不定期に展覧会を開く予定で、山口さんは「ここにしかない特別な景色を、ギャラリーを通して多くの人に知ってもらえれば」としている。
(四国新聞・2025/03/17掲載)