香川県三豊市出身の洋画家・小林萬吾の歩みを紹介する展覧会が、香川県高松市玉藻町の香川県立ミュージアムで開かれている。県内の個人が所蔵している貴重な作品を中心に展示。小林の師である「日本洋画の父」黒田清輝との関わりを振り返るとともに、功績を伝えている。4月13日まで。


香川県内の個人が所蔵している小林の作品を中心に紹介する展覧会=高松市玉藻町、県立ミュージアム


 小林は1868年生まれ。88年に上京し、95年には黒田の画塾・天真道場に入門。その後、東京美術学校(現東京芸大)西洋画科に入学、卒業後は教授として教壇に立った。1911年からヨーロッパに留学。帰国後は油彩画の日本的表現を追求し、日本近代洋画の成熟に寄与した。
 会場には個人蔵24点を含む計27点を展示。このうち、黒田との関わりをほうふつさせる作品が「赤布を纏(まと)える女」。黒田が制作した作品によって勃発した裸体画の是非を巡る論争を端緒に、小林ら弟子は、新たな美のイメージとして赤い布をまとう女性を描くようになった。
 「蔦島公園」は三豊市仁尾町の無人島・大蔦島の風景が描かれている。北端にある平坦な岩「平岩」や、澄んだ空と海を描写している。今展開催のために行った調査で55年ぶりに見つかったという。
 欧州留学で学んだ技法が詰まった「晴日のあんず」と「曇日のあんず」、黒田の主題をオマージュしたとされる「ヤギと少女」などもあり、小林の画家人生をたどることができる。
 担当学芸員は「地元の方が大切に所蔵してきた作品が鑑賞できる貴重な機会。小林の作風の多彩さを感じてもらえれば」としている。
 入場料は一般410円ほか。問い合わせは香川県立ミュージアム、電話087-822-0247。

(四国新聞・2025/03/20掲載)



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