猫が身近なものを頭にかぶった作品「被り猫」シリーズで知られる香川県高松市の造形作家・ベン山口の個展が、同市浜ノ町のJR高松駅ビル「タカマツ オルネ」3階のTSUTAYA BOOKSTOREで開かれている。直島など瀬戸内の島々の特徴を捉えた新作の「島被り猫」などが並び、ポップでユニークな作品が来場者を引き付けている。5月18日まで。


瀬戸内の島々をテーマにした作品をアピールするベン山口=香川県高松市浜ノ町、タカマツ オルネ

瀬戸内の島々をテーマにした作品をアピールするベン山口=香川県高松市浜ノ町、タカマツ オルネ


 ベン山口は、2015年から独学で石粉粘土による制作活動を始めた。23年には被り猫シリーズのカプセルトイが全国で発売され完売するなど、注目を集めている。
 本展は、同駅ビルのオープン1周年記念の企画展として開催。直島と女木島、小豆島の3島をテーマにした新作3点や同シリーズの他の作品約70点を紹介している。新作は各島を訪れて得た要素を取り入れ、島で暮らす猫の「目線」や島の物語性を意識して制作したという。
 直島を取り上げた「直島被り猫 工業とアートの島」(高さ26センチ、幅13センチ)は、島をかたどった部分の上に、「銅のハイヒール」が配されている。大正時代に銅の精錬所が建設され工業が発展し、現在はアートの島に生まれ変わった直島。島外から持ち込まれた「外からの力」への複雑な感情などをヒールで表現している。作品を通じて島の背景に触れながら「島の住民の心はどこにあるのだろう」と問いかけているという。
 このほか、菓子や野菜などをかぶったシリーズもあり、空間を彩っている。
 ベン山口は「子どもに服を着せ、かわいくしていくような感覚で作っている。県内外の人に楽しんでもらえれば」と話している。
 入場無料。問い合わせは同会場、電話087-811-0077。

(四国新聞・2025/04/10掲載)


ベン山口 公式ページ



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