瀬戸内国際芸術祭2025の春会期(18日開幕)から公開となる作品の一つで、台湾の美術作家・王文志(ワンウェンチー)さんが香川県小豆郡小豆島町中山地区で制作を進めてきた「抱擁・小豆島」が完成した。13日に関係者を招いてお披露目会が開かれ、参加者は同地区の新たなシンボルの誕生を祝った。


完成した「抱擁・小豆島」を鑑賞するお披露目会の参加者=香川県小豆郡小豆島町中山

完成した「抱擁・小豆島」を鑑賞するお披露目会の参加者=香川県小豆郡小豆島町中山


 王さんは竹を使った巨大な構造物を作ることで知られ、アジア、ヨーロッパ、北米などで作品を発表。同芸術祭には10年の初回から毎回参加している。
 小豆島を「第2の古里」と話す王さん。前回の瀬戸芸から3年ぶりに訪れ、「島が抱きしめてくれたように感じた」という。同作品には、世界中の人々が小豆島にたどり着けるように、との願いが込められている。
 1月から地元住民が約4千本の竹を切り出して準備。王さんは3月に来日し、瀬戸芸のボランティアサポーター「こえび隊」や王さんの制作チームと共に作り上げた。
 作品は直径約15メートルの球体の空間を中心に、出入り口にらせん状のスロープを備えている。竹の隙間から差し込む柔らかい光や風を感じることができる。
 お披露目会には大江正彦町長や地元住民ら約50人が出席。王さんは「制作を手助けしてくれた人々に感謝。作品が日本と台湾の架け橋のような存在になれば」とあいさつした。竹の伐採などで毎回協力している中山イベント推進会の箭木さんは「制作の過程で、作品が日に日に変化していくのが楽しかった。鑑賞に来た人との交流も深めたい」と語った。

(四国新聞・2025/04/14掲載)


瀬戸内国際芸術祭2025



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