職人の技、継承の歩みたどる 瀬戸内海歴民が企画展 来月25日まで
香川県内の伝統的な職人の手仕事にスポットを当てた企画展が、高松市亀水町の瀬戸内海歴史民俗資料館で開かれている。農具や和傘、菓子木型など香川の暮らしを支えてきた道具約250点を展示し、創造を続けてきた職人の技などを紹介している。5月25日まで。
同館は県内に伝わる伝統技術を把握しようと、1987、88年度に150人の職人を調査、さらに2023年度からは現状調査を行っている。その成果の発表として本展を開催している。
明治中期に製造が始まり、昭和初期には花形産業となっていた高松和傘。戦後は洋傘の普及により需要が減り、衰退の一途をたどったという。会場にはモミジや風景などを繊細に切り抜いた型紙などが並び、傘の骨に張る円形の紙「胴紙(どうがみ)」ができるまでの試行錯誤が垣間見える。
菓子職人の重要な道具である菓子木型は、注文された重さに合わせ、菓子の抜きやすさなどを考慮しながら彫る高い技術力が求められる。キクや鶴といった伝統的な型だけでなく、サンタクロースなど新たな型を製作し、時代のニーズに応えようとしていたことがうかがえる。
船大工など職によって形が異なる「ちょうな」や、漢字や花といった多岐にわたる模様の焼き印などもあり、伝統技術を今に伝えている。
同館は「道具を通じて、当時の人たちの暮らしが見えてくると思う。美しさや技術力も感じてもらえたら」としている。
入場無料。問い合わせは同館、電話087-881-4707。
(四国新聞・2025/04/28掲載)