不思議な世界観と緻密な線画で知られる米国の絵本作家エドワード・ゴーリー(1925~2000年)を紹介する特別展が香川県高松市紺屋町の市美術館で開かれている。ゴーリーに関する展覧会は四国で初めて。原画や資料約250点が並び、ダークで謎めいた物語が会場で繰り広げられている。6月8日まで。


線画の緻密さや独特な作風を楽しむことができるゴーリーの原画=香川県高松市紺屋町、市美術館

線画の緻密さや独特な作風を楽しむことができるゴーリーの原画=香川県高松市紺屋町、市美術館


 ゴーリーは早熟な子ども時代を過ごし、兵役を経てハーバード大を卒業、出版社勤務の後に独立。バレエ、映画といった文化のほか、19世紀の英国文学から源氏物語に至るまで多くの古典の影響を受けた。独特な世界観は世界中の人々を魅了し、ティム・バートン監督らもファンを公言している。
 「教訓譚(たん)」とは対照的な作風が特徴のゴーリーは、子どもを不条理な世界に翻弄(ほんろう)される象徴として描いていたという。「不幸な子供」は、裕福な家庭で育った少女が悲劇に見舞われる物語。原画には壁紙や調度品などが細かく描き込まれ、精密さに引き込まれる。
 代表作の一つ「うろんな客」はある一家の元に突然やって来た不思議な生き物が主人公。問題行動ばかり起こし一家を困惑させるが、居座り続ける。原画を目で追っていくうち、謎の生き物がかわいらしく見えてくる。
 このほか、衣装やポスターのデザインなど多方面で才能を発揮したことが分かる展示物も並んでいる。担当学芸員は「美しさと怖さ、愉快さを兼ね備えたゴーリーならではの作品を楽しんで」としている。
 入場料は一般1200円ほか。問い合わせは同館、電話087-823-1711。

(四国新聞・2025/05/15掲載)


エドワード・ゴーリーを巡る旅



関連情報