瀬戸内国際芸術祭への出品作家や、2023、24年度の新収蔵品などを取り上げたコレクション展「Welcome to Takamatsu Art Museu!!」が、香川県高松市紺屋町の市美術館で開かれている。16作家による25点が並び、現代アートの多様さや歴史を伝えている。6月29日まで。


現代アートの多様さや歴史を伝える作品が並ぶコレクション展=香川県高松市紺屋町、市美術館

現代アートの多様さや歴史を伝える作品が並ぶコレクション展=香川県高松市紺屋町、市美術館


 16年の同芸術祭に参加した現代美術家片山真理の作品は2点。片山は9歳の時に先天性の疾患で両足を切断したことから、自らの体を模した手縫いのオブジェなどを制作。芸術祭で発表した「bystander#004」は、人形浄瑠璃一座「直島女文楽」の黒子の女性たちの手をプリントしたオブジェの上に、自身や黒子の女性たちが手を添えた様子が収められている。
 19年から芸術祭に参加している現代美術家鴻池朋子の「風が語った昔話」は手芸作家らと共同制作した作品。自身が創作した生物などの命が移り変わっていく物語を、羊毛フェルトやボタンなどを使ってタペストリー状に仕上げて表現している。22年、大島で展開した「逃走階段」の構想模型や特別出品の指人形もあり、表現の多彩さがうかがえる。
 新収蔵品のうち小川信治の「ブランコの絶好のチャンス(24年度)は、名画から人物を消し去って描くシリーズの一つ。18世紀のフランスの画家フラゴナールの作品を下敷きに描いており、緻密な描写力が発揮されている。
 また、隣接する展示室では音丸耕堂の「彫漆浦島草文手箱」など24年度の収蔵品を中心に漆芸と金工作品約30点を展示している。
 入場料は一般200円ほか。7日午後2時から「出品作家トーク」があり、小川が制作の裏話などを話す。22日の同時刻からは学芸員のギャラリートーク。問い合わせは同館、電話087-823-1711。

(四国新聞・2025/06/05掲載)


高松市美術館



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